仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
突然の言葉に、私は持っていたティーカップを危うく落としそうになった。

「付け焼き刃の演技では鋭い人に見抜かれてしまうかもしれませんし、少しでも本物の夫婦に見せるためには、こうするのが手っ取り早いかと思いまして」

こちらの反応を窺うように、彼が向かいのソファからわずかに身を乗り出した。
同じシャンプーの香りがふと鼻をかすめて、私の思考を鈍らせる。

……彼と一緒に暮らす。
すなわち、同じ屋根の下で眠る……ということ。

「……っ」

いや、何想像してるの私。
言葉のままの意味だから。深い意味なんてないから……!

「も、もちろん大丈夫です。というか、元々社長の家なんですから私に許可を取る必要なんてありませんよ……」

「しかし、夫婦のような関係を持たずに済むという理由でこの結婚を受けてくださったんですよね?」

はっと胸を突かれる。

たしかにそういう理由だった。

嘘ではない。ただ、、愛情のない関係であっても、他愛のない話で笑い合ったり、一緒に食事をしたり、そういった穏やかな時間を過ごせる関係になれたら……なんて。

そういった気持ちの部分を伝えそびれてしまっただけで。
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