仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
「パーティーには業界や財界の要人が集まるわけですが、中には私を快く思っていない者もいましてね。彼らはこちらの隙や弱みを見逃すまいと、毎度毎度目を光らせているんですよ」
「なるほど……。私たちの偽装関係は、その方々にとって美味しいスキャンダルの種になりかねない……と」
「まあ、いざとなればいくらでも潰しようはあるのですが。あなたが隣にいる以上、巻き込みたくはありませんし」
ふいに彼の声のトーンが落ちて、背中にぞくりと冷たいものが走る。
潰す、なんて当然のように言ってのけるのが恐ろしい。
冗談などではなく、この人なら本当にやりかねないかもしれない。
……そうだった。
優しくされてばかりでつい忘れかけていたけれど、彼にはこういう仄暗い一面があったのだった。
────いや、一面というか。
据えた瞳を見ていると、彼の本質はむしろこちら側に近いのではないかという気がしてくる。
「それで、提案なのですが……、パーティーまでの期間、私もこの部屋で一緒に暮らしてもよろしいですか?」
「あ、はい。……─────え?」