仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
「こんな豪華なものを……本当にありがとうございます。次回は私が作りますね」
「君が? 嬉しいな、すごく楽しみだ」
「じ、自信はあまりないので、味の保障はできかねますが……」
「君が作ってくれたものならたとえ炭になっていようと食べるよ」
顔が熱くなる。
本当に、彼のいやなところだ。
息をするように合理的な嘘をつくんだから。
向かい合って席に着くと、彼が静かにワイングラスを傾ける。
小さな音を立ててグラスが触れ合い、それを合図に食事が始まった。
料理はどれもほっぺたが落ちそうなほど絶品で、けれど、私の心臓は正直それどころではなかった。
なにせ、正面に座る統悟さんの視線が、たびたび私に注がれてくるからだ。
ふたりで食事をしているのだから、料理ばかりを見つめて黙々と食べるのもおかしい話で。
だから当然といえば当然なのだけれど、見つめられるたびに意識が彼に全振りするので困ってしまう。
「……どうかしたか?」
「いえすみません……、あまり見つめられると、その……照れるといいますか……食べづらいといいますか」
「ああ、悪い。すごく美味しそうに食べているのが可愛くてつい」
「っ、ぅぐ……」
さらりと言われて、あやうくむせかけた。
「あの、ですから、からかうのはやめてくださいとあれほど……っ」
「じゃあ、ついでに俺からも頼みがある。食事のあいだくらい敬語は外してくれないか」