仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
もう境界がわからない。
呼吸も鼓動も混ざり合って、私たちの本当の関係さえもすべてが曖昧になっていく。
こわばっていはずの体は、もうとっくに抗う力を失くしていて。
やがて立っていられなくなった私を、彼がやさしく抱きとめた。
それから、私の額に自分の額をこつんと預けてくる。
「……可愛すぎるのも大概にしてください」
ため息混じりの声が、ぼんやりとした意識の中に流れ込んでくる。
こんなの、本物の夫婦みたいだ。
……皮肉なほどに、よく出来すぎている。
そのせいで、頭を片隅をよぎってしまう。
この偽りの中になら、永遠に閉じ込めらてもいい……なんて、ひどく愚かな考えが。