仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
触れたのは、ほんの一瞬。
それなのに、時間が止まったみたいだった。
どこかふわふわとした心地で相手を見上げれば、またすぐに奪われる。
「……んっ……」
今度はさっきよりも深く重なった。
まるで現実だとわからせるみたいに。
大きな手がそっと頬を包んで、輪郭をなぞる。
ゆっくりと目を閉じれば、その瞼の裏でチカチカと火花が散って見えた。
「……っぁ、ん……」
浅い呼吸のあいだを縫うようにして彼の熱が中に入り込んでくる。
濡れた感触が伝わり、体がぞくりと甘く痺れた。
呼吸が乱れて、心も乱れて、苦しいのに。
それでも精一杯応えようとしてしまうのは、きっと、この人のことが好きだからだと思う。
「……もう一回呼んで」
「……え……」
「俺の名前……呼んで、理優」
好きだから、名前を呼ばれるとうれしい。
好きだから、名前をもっと呼んでみたい。
「と……、とうご、さん……」
「……あー、ほんとにもう、お前は……」
「んんっ……」