仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
「あ……えっと、お待たせしました」
声を掛けるも、すぐには返事がなく。
思わず不安になって、スカートの裾をぎゅっと握りしめる。
「……統悟さん……?」
「───ああ、いや。白がよく似合うなと。……すごく可愛い」
「っ、……ありがとうございます」
語尾が消え入りそうになりながらもなんとか答える。
まだ人前じゃないんだから、夫婦っぽいことは言わなくていいのに……。
なんて思いながらも、私の正直な気持ちを伝えるには都合がよかった。
「今日の統悟さんも……とても素敵です」
彼は一瞬驚いた顔をして、それから小さく笑ってみせた。
「ありがとう。じゃあ、行こうか」
頷いて、彼の背中を追いかける。
浮かれた気持ちを悟られないよう、デートという言葉はひとまず胸の奥にそっと閉じ込めておいた。