仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
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クラルテのエントランスを抜ける足取りは、自分でも驚くほどに早まっていた。

けれど、玄関をくぐっても、いつも帰宅と同時に出迎えてくれるはずの彼女の姿はなく。

「……理優さん?」

彼女の部屋の前まで行き呼びかけても返事はない。

慌ててスマホを見る。
彼女からの連絡の通知はない。
勤務時間は、とっくに過ぎているというのに。

────まさか事故?
────それとも、どこか体の具合が悪くなったかとか……。

真っ先に嫌な可能性が脳裏をよぎる。

いや、そんなはずはない。
彼女の勤務先はこのクラルテだ。

真っ直ぐに部屋に向かえば事故の心配はないし、体調を崩したなら真っ先に俺に連絡がくるはずだ。

リビングの扉が開いたのは、電話をかけようとスマホの連絡先をタップした直後だった。


「……あ、統悟さん。お帰りなさい」

そう言ってにこりと笑う彼女を見て安心したのかなんなのか、持っていたスマホが手から滑り落ちた。

「と、統悟さん……? どうしたんですか、固まって」

「……それはこっちのセリフです。どこに行っていたんですか、こんな時間まで」

その声は、自分でも驚くほど冷たく響いた。
すると彼女は視線を泳がせ、気まずそうに唇を噛む。

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