仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
15時。笹井さんと交代でにカウンターに入ってきたのは五十嵐くんだった。
「お疲れ、成田」
「五十嵐くんお疲れ様」
「……なんか、顔色が悪くないか?」
顔をのぞき込まれて、思わずうつむいた。
「大丈夫だよ」
「いや、どう見ても大丈夫じゃなさそうだけど? 成田、熱あるんじゃないのか」
言われてみればそんな気もしてくる。
けれど、心配をかけるわけにもいかずに首を横に振った。
「……夜、ちゃんと眠れてるのか?」
「うん、大丈夫」
実際、統悟さんと離れてから深く眠れた夜なんて一度もない。
目を閉じれば統悟さんの姿が、肌に残ったあの熱い感触ばかりが蘇って、そのたびに息苦しくなって目が覚めるのだ。
「……夜見社長のこと、まだ忘れられないのか?」
考えを見透かされたかのようにそう言われ、びくりと肩が跳ねる。
そうだ。五十嵐くんには、統悟さんとの事情を包み隠さず話してたんだった。
そういえば五十嵐くんと会った日の夜は、統悟さんに激しく抱かれてしまったんだっけ……。
あの日はもしかしたら嫉妬してくれたのかな、なんて思ったけれど、勘違いも甚だいと今ならわかる。
────なんて。
どこまでいっても統悟さんのことばかりを考える自分がつくづく嫌になる。