仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
──“あなたが住人ひとりひとりと積み重ねてきた時間が軽いものではないと知っているから、俺は今ここに座っているんです”


夜見社長の配下に属するコンシェルジュは当然たくさん存在する。
その数の中から、私を選んでもらえた。

選ばれるということは、同時に試されるということ。

クラルテで働くということは、私自身が最高級のサービスとして扱われるということ。


……怖くないわけがない。
それでも……。

ふと、夜見社長の顔が浮かぶ。

ぞっとするほどの静けさを称えた瞳。

こちらに決して逃げ場を与えないような、それでいて、こちらのすべてを受け入れるような強い眼差し。

少しずつ、少しずつ、鼓動が早まるのを感じる。

彼に見つめられたときと同じ緊張に抱かれながら、私はそっと目を閉じた。
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