仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
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異動にあたっての打ち合わせとなれば、人事部やクラルテの運営チームの担当者も同席するのだろうと勝手に思い込んでいたけれど、予想は外れ。
その日は結局、沖野さんとふたりきりのランチタイムとなった。

結論としては、沖野さんはやはりさすがとしか言いようがなかった。

クラルテの詳しい内部概要から引き継ぎ事項に至るまで、彼女の説明は質問をはさむ必要がないほど的確で淀みがなく、社長専属の秘書とは思えないほど現場に通じていた。

……いや、社長専属の秘書だからこそなのだろうな、と思う。

あの夜見社長がそばに置く人物だ。
このくらいの力量はあたりまえで、むしろ驚くほうが失礼だったかもしれない。


「あ、成田! お疲れ」

沖野さんと別れてから職場に戻ると、ちょうど休憩ルームから五十嵐くんが出てくるところだった。


「五十嵐くん、お疲れ様」

「飯、今日は珍しく外に食いに行ったんだな」

「あ、うん、そうなの。異動の打ち合わせも兼ねてランチに誘ってもらって……。そういう五十嵐くんは、今日早いね。出勤は15時からじゃなかったっけ?」

「あー、いやさ、成田と話したくて早めに来たんだけど……」

そう言われてはっとする。
そっか。五十嵐くんは私がいつも休憩室でお昼ご飯を食べるのを知ってるから……。

「私も話したいって思ってたんだけど、あいにく今すぐ業務に戻らないといけなくて……。ごめんね、せっかく早く来て待っててくれたのに……」

「ああ、べつにいいーよ。って言いたいとこだけど、成田が異動するまでもう俺達シフト被ってないんだよな」
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