仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
そう言われてはっとする。
そっか。五十嵐くんは私がいつも休憩室でお昼ご飯を食べるのを知ってるから……。
「私も話したいって思ってたんだけど、あいにく今すぐ業務に戻らないといけなくて……。ごめんね、せっかく早く来て待っててくれたのに……」
「べつにいーよ。って言いたいとこだけど、成田が異動するまでもう俺達シフト被ってないんだよな」
「あ……そうだったっけ? じゃあ今度は私が五十嵐くんに合わせるよ。近いうち都合のいい日に──」
「いやそんな待てねえって」
突然、遮るセリフとともに手首を掴まれた。
「今、返事聞かせて。イエスかノーか、それだけでいいから」
「……、……」
「成田が好きなんだよ、ずっと前から。……異動で離れるのも正直耐えられない」
掴まれた部分が痛い。
こんなふうに真正面から気持ちを差し出されると、つい受け取ってしまいそうになる自分がいる。
相手が五十嵐くんだからではない。
きっと誰であっても私はこうなってしまう。相手の望むかたちに、自分をそっと寄せようとしてしまう。
……だから、だめなの。
だから、もう恋愛はできないの。
「…………ごめんなさい」