仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
なんだろうこれ。
胸の奥で何かが絡みつくような妙な違和感。


「ごめん、まだ異動したばっかりでちょっとバタバタしてて……。落ち着いたらまた連絡するから、それでもいい?」

「ほら、成田はそうやって頑張りすぎるからだめなんだよ。息抜きも必要だろ? 飲み行こ、飲み」

「う……うーん、あはは……」


このあとの流れはよくわかる。

爽やかな笑顔に負けて、私は結局うなずいてしまうのだ。
昔からそう。他人の善意だけはどうしても無下にできない。


「じゃあ、木曜日はどうかな……? 私中番だから18時にはあがれるよ」

「よっしゃ、木曜な! 18時ごろクラルテに迎えに行くわ。いつもの居酒屋でいい?」

「うん。───あ、迎えは大丈夫だよ。最寄り駅集合にしよ」

「いやいや遠慮すんなんって」

「ううん、そうじゃなくて」


つい食い気味に否定してしまった。
ひと呼吸ぶん間を置いてから、私は続ける。


「クラルテって基本的に関係者以外は入れないでしょ? だから、私的な用事で迎えに来てもらうのは避けたほうがいいかなって」

「ん? 俺ちゃんと社員証見せたけど?」

「うん、わかってる。でも実はさっき、夜見社長にも直接注意されちゃって……」
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