仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
自分が尋常じゃないほどドキドキしていることに対する動揺と、あの夜見社長に謝罪をさせてしまったという焦り。
ふたつがぶつかったせいで、思考が追いつかないまま言葉だけが妙に饒舌に溢れていってしまう。
彼はそんな私を見て、くすりと笑った。
「もっと物静かな方だと思っていましたが……私の見込み違いでしたか」
直後、さっと血の気が引く。
品がない女だと思われたに違いない。
今すぐ埋まりたい……。
「……す、すみません……つい大きな声を……」
「冗談ですよ。素のあなたを見れたようで嬉しいです。ずいぶんと可愛いんですね」
「……え……?」
車内に、ほんのひと呼吸ぶんの沈黙が落ちた。
「さて、そろそろ俺の部屋に移動しましょうか。早く濡れた体を拭かないと」
処理しきれない私をよそに、彼は淡々とシートベルトを外しにかかる。
……えっと……今……なんて。
────“俺の部屋”?
「降りないんですか?」
「へ? あ……ええと、私……帰ります、ので」
「危ないですよ。しかもそんな体で」
「タクシーを呼ぶので大丈夫です。それに、これ以上夜見社長のお手を煩わせるわけには……」
不意にぐっと距離を詰められて、言葉が途切れた。