仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
関係ないけど、そういえば今“異動”とかいう単語が聞こえたような気が……。

───え? 異動?

足を取られていた地点からなんとか抜け出して、ゆっくりと頭を回転させる。

私は、来週から別のマンションへ異動する……。

ようやく意味を理解した刹那、背中がすっと冷たくなった。

「それは……私の今のマンションでの仕事に、なにか問題があったということでしょうか」

「いえいえ、あなたの仕事ぶりを買っての頼みです。俺の住むマンションのコンシェルジュに欠員が出ましてね」

……ああ、なるほど。だから急遽穴埋めが必要になったと。

自分の不手際による異動勧告ではなかったことに、ひとまずほっと息をついた。

直後、あれ?と引っかかる。

“俺の住むマンション”────。
< 9 / 46 >

この作品をシェア

pagetop