仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~

──『俺が早く会いたいからですよ。形だけの結婚とはいえ今日は特別な日ですから』

あの声がまだ耳元に残っている。

あれは私に負担を感じさせないための、いわば便宜上の言葉。べつに深い意味なんてないのだ。

自分で否定しながらも、このどきどきの中に期待のようなものがしれっとまぎれ込んでいるのは事実だった。

嘘でも、「会いたい」なんて言われたら困る。

演技とはいえ、恋愛に慣れていない私はいちいち動揺してしまうから。


彼が帰ってきたら、私はどんな顔で迎えればいいのだろう。

「……“おかえりなさい”……」

口の中でそっと転がしてみるけれど、やっぱり違和感がすごい。
居候のような立場でこれを言うには馴れ馴れしすぎる気がする。

気を紛らわせようとテレビをつけても、内容は全然頭に入ってこなかった。
リポーターの明るい声が右から左に抜けていく中、ソファの上でそっと目を閉じる。

大事な話がなんなのか、聞くのが少しだけ怖い。
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