仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~

リビングの壁に設置された端末から音が鳴ったのは、それから数分後のことだった。

彼が部屋へ直結のエレベーターに乗った合図だ。

つまり、玄関のドアを開くまで間もなくということになる。

嘘……もう? まだ二十一時になったばかりなのに?

心臓が早鐘を打って、指先まで微かに震え始める。


どうしよう。
妻として玄関まで出迎えに行くべきか。
だけどまだ心の準備ができていないし……。

情けないほどに迷いながら、それでも最後は勇気をふりしぼって、えいっとリビングをあとにした。


長い廊下を曲がった瞬間、図ったようなタイミングでドアが開いた。
急ぎ足に慌ててブレーキをかけた反動で、体が大きく前のめる。

なんとか体勢を整え直したものの、時すでに遅く。

ばっちりと一部始終を見られてしまった。
────その腕に、溢れんばかりの大きな花束を抱えた彼に。
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