哀しみのオレンジZERO 幸人

PROLOGUE 幸人

 2019年9月の夜の街…
 カランカラン…
「いらっしゃいませ…お飲み物どうされますか?」
「スコッチのソーダ割り…」
「かしこまりました…」
 カランカラン…ポトポト…シュワ〜…
「お待たせしました…」
「ありがとうございます…」
 ゴク…ゴク…
 僕の名前は水瀬幸人。公安警察に所属する21歳です…大人になった今、毎日あることを考えています。
「幸人〜!高い高〜い!」
「ハハハハ…!」
 毎日思い出すのは母さんの笑顔と哀しみを必死で抑えた顔…今思えば、僕が生まれたときから、運命は決まっていたのかもしれない…あのときの僕は、母さんと幸せな人生を歩んでいくはずと心から信じていました。それなのに…
「ごめんね幸人…絶対迎えに行くから…」
 その言葉を最後に、3歳のときから、ずっと母さんは帰ってこなかった…あれからもう、18年も経っている。
 ゴク…ゴク…トン…
 一体僕は何のために生まれてきた…?何故周りの人は僕のことを"悪魔"と呼んで次々と去っていくんだ…?それでも思い出すのは母さんの言葉
「いい幸人?幸人は、どんなに辛いことがあっても絶対に幸せにならなきゃダメよ!」
 母さんが僕に付けてくれた"幸人"という名前。名前の由来は"どんな逆境でも幸せを掴んでほしい…"なのにどうして母さんは僕を迎えにきてくれないのか…母さんが傍にいれば幸せになれるはずなのに…
「おっ!偉いねぇピーマンと椎茸食べれたんだ!」
「僕ピーマンだいすきぃ!」
 僕は母さんの笑顔が見たかった。だから嫌いな食べ物も頑張って食べれた。
 ゴク…ゴク…
「同じのお願いします…」
「かしこまりました…」
 僕の人生は、いつから狂ってしまったのか…僕が狂ったのは自分のせいか、周囲の人間か、それとも社会か…?
 トン…
「お待たせしました…」
 カランカラン…
 誰か教えてください…僕はあと何人殺せば、幸せが訪れるのか…一つ言えることは、もう誰も僕を止めることができない…それだけ
 ゴクゴク…
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