最強女子にも帰る場所がある~Choice your back home~
 英のフォットスタジオの次に向かった先は雪斗のいる化け屋敷だ。

 体育館のステージが始まるまで雪斗はずっとお化け屋敷に待機して人を脅かすらしい。

 その間、お昼ご飯にバザーに売られているご飯が食べれない…と嘆いていたため、バザーで雪斗が好きそうな物を買いに行ってからお化け屋敷に行く。


「きゃー!!」

「うわぁぁぁ!!」


 次々と悲鳴がこの教室から聞こえてくる。

 お化け屋敷って、これが普通なんだよね?

 助けに行ったりとかしなくていいんだよね?

 お化け屋敷は大盛況で行列の中に並ぶ。

 いよいよ、入る順番になってお化け屋敷になった雪斗の教室に入る。


「うわぁ!。」

「あがぁ!」

「………。」


 お化けが脅かしにくる中、何事もないように歩く。

 というのも、壁の捉えた反響や気配で大体、今脅かしに来るんだろうなと分かってしまう。

 とりあえず、進んでいく。


「……あ、雪斗いた。」


 吸血鬼のコスプレをした雪斗がいる。


「はい、雪斗。ご飯あげる。」

「ちょ、ここじゃヤバいって。」


 焦る雪斗によってお化け屋敷の裏側にやってくる。

 しかし、さっきまでの焦っていた様子から一転、


「お、これ美味しそ!」

「うん、雪斗が好きそうだと思って…。」

「え!?全部好きなんだけど。」

「良かった。」

「さっそく、一口…。」


 ホットドッグを味わう雪斗。


「……ちゃんと手を洗ってからのほうがよくない?」

「いいんだよ、別に。」


 私がジェヘナだということを打ち明けて以来二人きりになると、雪斗は完璧人間という仮面を外して、口調もヤクザらしい粗野な感じで話すようになった。

 しかし、美味しいものを食べる幸せな笑顔はいつまでも変わらない。


「美夜も食べて見ろよ。」

「いや、食べさせてもらう年頃じゃ…。」

「ほら…。」


 何故か押し気味の雪斗。


「じゃあ、一口…。」


 ホットドッグを頬張る。


「……ん、美味しい。」

「だろ。ここのホットドッグ去年食べたけどマジで美味しくてさ、食べたかったんだ。」


 しばらく雪斗と話し込むも、すぐに雪斗がまた戻らないといけなくなった。


「やべ、そろそろ行かなきゃ…。」

「そっか、頑張ってね」

「あぁ。それから…。」


 手首を引かれ、耳元で囁かれた。


「……この前言ったこと、本気だから。」


 そう言い残して、雪斗は持ち場に去った。

 しかし、その後に続いた


「……間接キスじゃ、意識しないのか。」


 という呟きは吸血鬼のマントが翻った音でかき消された。
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