フィオナの運命
「フィオナ」

支度を整えてダイニングルームに行くと、テーブルで書物を読んでいたルシアスが嬉しそうに目を細める。

立ち上がって近づくと、優しくフィオナのウエストを抱き寄せた。

「一段と可愛らしいな。その色、よく似合っている」
「ありがとうございます」

フィオナが恥ずかしさに視線を落とすと、ルシアスはフィオナの耳元にチュッとキスをする。

「ルシアス様!」

慌てて後ずさると、更にグッと強く抱き寄せられた。

「あの、こんなところで……」

必死に見をよじりながら視線を向けると、ローラとユーリは素知らぬフリで食器を並べている。

その姿がなにやら楽しそうで、フィオナはますます困惑した。

(一体、どういう話になっているのかしら)

するとルシアスが、フィオナを席へと促しながら切り出した。

「フィオナ。食事が終わったら話があるんだ」
「え? はい、分かりました」

顔を見上げると、ルシアスはどこか寂しげな微笑みを浮かべている。

気になりつつ、明るく食事を始めたルシアスに、フィオナも笑顔で応えた。
< 57 / 82 >

この作品をシェア

pagetop