フィオナの運命
するとルシアスが近づいて来て、胸に手を当てながらフィオナに笑いかけた。

「フィオナ、次は俺と踊ってくれるか?」
「え? はい」

二人で向かい合ってお辞儀をすると、ルシアスはグッとフィオナのウエストを抱き寄せ、流れてきた優美なワルツに合わせてステップを踏む。

フィオナも頬をほんのりピンクに染めながら、ルシアスに寄り添って踊り始めた。

「フィオナ、ダンスも上手いな」
「いえ、そんな。ローラが教えてくれたのです」
「そうか。ではこれからは、俺と踊ってほしい」
「はい」

そっと視線を上げるフィオナに、ルシアスは優しく微笑む。

二人をうっとりと見守る侍女達から、感嘆のため息がもれた。

「素敵ねえ、おとぎ話の王子様とお姫様みたい」

それを聞いて、ローラが得意気に笑いかける。

「あら。ルシアス様とフィオナ様は、正真正銘アレクシア王国のプリンスとプリンセスよ」
「確かにそうね。いいなあ、王子様。ジャイラには、変なオヤジの王族しかいなかったのよ」

ローラは思わず吹き出した。

「変なオヤジって……。いくら王族でも、慕われなければ意味がないわね」
「そうなのよ。でもルシアス様は、国民に慕われていらっしゃるのでしょう?」
「もちろんよ。フィオナ様との結婚を、国民の誰もが心待ちにしているわ」
「ロイヤルウェディングね、素敵! ひと目だけでも拝見したいわ」
「それなら、アレクシアに遊びに来て」
「え、いいの?」
「もちろん。だって私達、友好条約を結んだ国同士でしょ?」

茶目っ気たっぷりにウインクするローラに、ジャイラの侍女達も嬉しそうに頷いていた。
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