雨の日が苦手だった、私たちは
「いや……あー悪い、勝手に口出して。でも、なんか朝比奈ばっかりが引き受けるのは違う気がして」
よく考えると、朝比奈の姿を見て思わず間に入ってしまった。こんなことは初めてだ。面倒なことに自分から関わるタイプではない。
……なのに、今回ばかりは体が先に動いていた。
「……高瀬さんって、優しいんですね」
「優しい? 俺が?」
「はい、だって、私が困ってそうだなと思って、声をかけてくれたんですよね? やっぱり、高瀬さんは優しいですよ」
「優しい」と言う朝比奈は、また花が咲くように可憐に笑う。その姿から、なぜか視線を外せなくなっていた。遅れて、自分の顔が熱くなっていることに気付く。
正直、褒められることには慣れている。
でも、それは努力した結果だとか、容姿だとか、そういうことがほとんどだった。
朝比奈がくれる言葉は、自分の中身を見てくれているような気がする。
(朝比奈は雨の日が落ち着かないって言ってたけど……俺も今日は落ち着かないな……。雨だからか?)
落ち着かない。けれど、それだけだ。
この感情に、特別な名前はない。
初めて出会う感覚に戸惑いながらも、二人並んで会議室へと戻っていった。
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