先輩、好きです。
無口で感情をあまり表に出さないタイプ。
誰かとふざけ合ったり、声を張り上げたりすることもなく、練習中も淡々と自分のプレーに集中している。
でも、そんな彼のプレーはずば抜けて上手い。
スピード、判断力、ボールタッチ。
どれを取っても一年生とは思えない完成度。
一度コートに立てば、その場の空気すら変えてしまうほどの存在感がある。
さっきのプレーだってそうだった。
わずかな隙を突いてディフェンスをかわし、迷いなくシュートを決めたあの瞬間。
私は、思わず息をするのを忘れていた。
入出のように明るく勢いがあるわけじゃない。
それでも彼のプレーには不思議と目を奪われる。
休憩のタイマーが鳴り、部員たちが次々とコート脇に集まって水分補給する。
一人ひとりにボトルを渡していると、矢吹と目が合った。