先輩、好きです。
「お疲れ様。さっきのプレー、すごくよかったよ」
そう言って、意識的に笑顔を浮かべる。
相手は入部したばかりの一年生。
先輩が声をかけることで、緊張して萎縮したりしないように気遣ってのことだった。
矢吹はしばらくボトルに視線を落としてから、それを受け取った。
けれど────
「……はあ、どうも」
矢吹は小さくそう言うと、それきり。
表情も変えず、私に目も向けないまま、すたすたと壁際へ歩いて行ってしまった。
私、今────褒めたよね?
さっきのプレー、すごくよかったって。
ちゃんと言葉にして伝えたよね?
それなのに、あのそっけなさ。
まるで、連絡事項でも聞いたみたいな反応だった。
ありがとうのひと言も、笑顔のひとつもなし。
ほんの少しでも嬉しそうにしてくれたら。
とか、ちょっとでも期待した私がバカみたいじゃない。
そう思うと、段々と腹が立ってきた。
「汐織ー、あんま気にすんなって」