先輩、好きです。
あの男の人目を引く容姿に他の女子たちが惹かれるのも分かる。
だけど私は、そこには特別な感情を抱いたことはなかった。
きれいだとは思うけど、それだけ。
テレビで国宝級イケメンと呼ばれる芸能人を見ているのと同じような感覚で、ただ造形の良さに感動するくらい。
目を惹かれたのは顔じゃない。
コートを駆ける姿だった。
隙を見て敵陣に切り込む勢いにも、正確に戦況を把握して人を動かす判断力にも、『バスケ部のマネージャー』として魅了された。
そこに恋愛感情なんて最初から存在しなかった。
だからこんなの、どう考えたっておかしい。
────全部、昨日のせいだ。
あんなことを言われなければ。
今だって、こんなふうに振り回されることなんてなかったのに。
指先に残る熱を、水と一緒に流してしまうみたいに最後のボトルを洗った。