Toxic・Romance
 
 ていうか、そうだ。

「ところで私の名前、なんだと思ったんですか?」

 なんとなく気になったことをぽつんと呟くと、片桐さんは「それはそうとこの辺月島さん好きそう」と、映画のタイトルをモニターに映す。

「あ、好きですね、観たいです」

「じゃあこれにしよう」

 片桐さんはその映画を流してしまった。私は嬉しいけれど、違和感。

「(あれ、そういえば)」

 片桐さんは恋愛映画に価値が見出だせないタイプだったのでは?

 ちらり、隣を確認しても片桐さんの横顔はモニターを見つめているだけだった。

「(一緒に見てくれるのかな)」

 形容しがたい喜びが胸の奥に漂う。

 毛布の中が、お互いの熱を閉じ込めた体温が、やけに熱い。くっつけた足の親指をもぞもぞと擦り合わせ、この喜びを分散して映画に集中する。
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