Toxic・Romance
テレビの画面に映像が流れる。狭苦しい空間でただ映像を見ているだけなのに、ちょっとだけ感動する。
映画が始まって10分も経過しなかったと思う。
「だめだ、眠い」
片桐さんはそう言って膝を立て顔を埋めた。体勢的にとても辛そうだ。すこしだけ迷って、正座した。
「……あの、片桐さん。よければどうぞ」
「一応、未使用です」と付け足せば「未使用って」と失笑した片桐さんもまた、すこしだけ迷ったように視線を流した。
「おじゃまします」
「はい。おじゃまされます」
両膝に片桐さんの重さが加わる。普段見上げている人が目線の下にいるのはちょっとだけ恥ずかしい。けれどもどうしても気になるので視線を下げる。
目を瞑った片桐さんももちろんお美しい。
どんな美容液を使っているのか毛穴もないし、まつ毛もながい。すっと通った鼻筋も、うすい唇も罪深く、うっとりとしてしまう。
「片桐さん、綺麗なお顔されてますね」
言うはずのない感想が口からこぼれた。
「どうも」
片桐さんは興味なさそうな返事をする。