Toxic・Romance
そのまま夜ご飯まで一緒だった。たくさん歩いたし、昼食から時間は経過していた。なのにあまりお腹は空いてなくて、病気かな?と心配しちゃう。だから軽めのものを食べようと思ったけれど、片桐さんがオススメだというメニューが美味しそうで、ひとくち食べたら本当に美味しくて、食欲は復活した。
片桐さんの世界はとてつもなく広大で、私は片桐さんを介入して自分の世界を広げている。そんな感覚だ。
プレゼントを渡すタイミングが分からなくて、どうしたものかと悩んでいたら別れ際になってしまった。しかも、車を降りて、片桐さんを見送るだけの状態になってもなお、渡せずにいたのだ。
私が使うわけにもいかないし、父は絶対に似合わないし、兄も同じだ。だから、ここまできたら、もう、渡すしかない。
胃の部分から、ぐわ!っと何か咽び返す思いで「片桐さん!」と、いささかボリュームの大きな声で呼び止めると、人の気も知らない片桐さんは「はい」と、普段通りフラットな声で返事をした。
私はなぜ、一体どうして、こんなに緊張しているのか。
「あの、これ、今日のお礼です」
おずおずと差し出せば、片桐さんは「は?」と、驚きを表情に浮かべた。当たり前だ。私も驚いているのだから。