Toxic・Romance

 そこまで言い切ると、私はスマホを取りだした。善は急げ、思い立ったら吉日、決意は迅速に、始まりは今。

「ということで、雨木さんにメールしておきます!」

「なにを?」

「必要以上に会いませんって!」

「別にいいよ、趣味だろ?」

「趣味だとしても、たとえば片桐さんが趣味の一環で女子と会ってたらやですもん!」

 うん、考えただけでやだ。それがすごーく可愛い子で、片桐さんが心変わりしちゃったら?……絶対に嫌!

《今日はありがとうございました。楽しかったです。またぜひお会いしましょう》

 SNSをひらくと、雨木さんから連絡が届いていた。丁寧で良い人が滲み出ているなあ、と、例えば上位ランカーでも傲慢さは捨てて真面目なのは、彼の誠実さを物語っている。

《私もとても有意義な時間を過ごせました。でもごめんなさい。こうやって趣味のみの連絡を取るのはいいけれど、会うのは控えさせてください。趣味と同じくらい、恋人のことが大事です》

「(これで大丈夫かな)」

 片桐さんを不安にはさせないもんね。

 おそらく彼女って、そういうものだ。

「あんたは俺よりも男前だな」

「複雑な褒め言葉ですね……」

「惚れて良かったって言ってる」

「こっちのセリフです」

 そう言って片桐さんの身体に抱きついた。ここがきっと、私にとって世界でいちばん温かい、しあわせの温度だ。
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