Toxic・Romance

 露わになった肌に、彼の熱い手のひらが吸い付くように触れた。

「他の男のことなんて、考える暇、一秒もあげないから」

 彼は言葉通り、私に余裕のかけらさえ許してくれなかった。何度も何度も名前を呼ばれ、愛を囁かれ、私は彼という深い重力の中に、ただ堕ちていくしかなかった。

 「それにしても、片桐さんは目で摂取するタイプの美容液というか、栄養剤ですね」

「ん?」

 ベッドの中で今日のことをぼんやりと思い出しながら、私は再確認していた。片桐さんという存在の偉大さを。

「実は今日すごく疲れてたんです。楽しかったんですけど、すっごく楽しかったは間違いないんですけど、気疲れというか、なんというか、すごく。それが今、ちっとも疲れてない」

 片桐さんは何も言わなかったけれど、よしよしと頭を撫でてくれた。それが返事のように思えた。

「だからありがとうございます、片桐さん」

「なんに対してのお礼?」

「うれしいからです。私、片桐さんに会えるだけでうれしいんですよ」

「うれしいって理由で会いたいんだ」

「はい。たぶん、彼女はそういうものです」

「そんな理由で会いたいって思われたことがないな」

「じゃあ、その記憶は忘れてくださいね。私は物を目的にしてないし、欲しいものも自分で買えますから。片桐さんも気兼ねなく、私と会ってください」


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