Toxic・Romance


《終わった》それから《会いたい》の二言がセットで届いたのは、予想していた時刻よりも随分とはやかった。

 どれくらい早いかというと、残業があったとはいえ、私はまだ晩御飯の支度中だった。

 私としては、お風呂上がりになるだろうから、かわいい香りのボディミルクを塗ったり、髪の毛を三つ編みにしたりして待っていようかなって。そんなふうに準備していたのに、仕事帰りのままルームウェアで出迎えることになるなんて……。

 あわてて前髪を結んでいたシュシュを解いたり、片桐さん用のクッションを敷いて待っていたりすると、しばらくして玄関のチャイムが鳴った。鍵を開けて、扉を開けると片桐さんがいた。タートルネックが世界一似合うと思う片桐さんに向かって微笑む。

「片桐さん、おまちしてました!」

「ゆーゆ」

「(かわいい)」

 ちょっと酔ってるらしい片桐さんは、目元が少し緩んでいる。その様子に気を取られていると、片桐さんの腕に抱きしめられてしまった。いつもよりタバコの匂いが強い。知らない香りが混ざっている。片桐さんのご友人たちは愛煙家が多かったのだろう。

「カレー作ったの?」

「はい。甘口なので、よかったら片桐さんも食べませんか?」

「食べる。つか、甘口派だったっけ?」

 たしかに今までは中辛が多かったと思う。でも、片桐さんと付き合うようになって、不思議とカレールウは甘口を選択している。
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