『愛をください』─ 叶わぬ想い ─
28 ◇祖父の家で団欒


勝手知ったる他人の家というか、祖父が住んでいた家なので、勝手知ったる祖父の家
というところで、私たちはインターホンを鳴らすと門をくぐり戸口まで歩いた。


すると、ドアを開けて美代志くんが出て来た。


「「おじゃましまぁ~す」」
息子たちは挨拶もそこそこに、ささっと家に上がった。


「息子たちだけ、お邪魔させてもらおうかと思ってたんだけど、夫の晩御飯を気にする必要が
なくなったので、私も来ちゃった」

「あ、いらっしゃい」

「だから、午前中に届けた食材は私が今持って来た食材と併せて、ここで作るわ。
みんなで一緒に食べましょう」

「いいですね、大勢で食べるの」

私と美代志くんが家に入ると、息子たちはもうやる気満々でトランプをくって(切って)いた。

「おかあさんも入って~。七並べするよ~」

和室に置かれている長テーブルに並べられた7のカード。

私が子供の頃はマッチ棒を点数(お金)に見立てて、各々に配布していたけれど、
家にはマッチがないので、勿体ないけど爪楊枝を持参した。

今どきの家に、例えマッチがあったとしても、ゲームに使えるほど大量にある家なんて
ないだろう。

「今日は爪楊枝1本10円で、かけてもいいことにしてるの」

「えっ、そうなんですか」

「お正月のトランプってそんなもんじゃないの?」

「僕は、初めてです」

私には兄弟や従兄たち、おじやおばたちも毎年集い、それが当たり前だと
思っていたけれど、家族が少なくて親類などがあまり集わないお家では、
トランプ大会やマージャンのパイを使ったゲームなんてしないのかもと、
美代志くんの言葉でそう思った。

「お金がかかってると力はいるわよ~」


「美代志のお兄ちゃん、手加減しないよ――」
悟が、そんな風に勝つ気満々の発言をする。

「ひゃあ~、悟くん、お手柔らかに~」

「「「はははっ」」」


勝っては気勢をあげ、負けては大げさにしょぼくれる2人の息子たちに
その都度、私と美代志くんは苦笑しながらアイコンタクトをとる。

きょうだいのいない美代志くんには、うちの息子たちはどんなふうに映っているだろうか。
単細胞な息子たちを堪能してくれるといいけど。

私自身、まだあまり世間に揉まれておらず、単細胞な反応をする彼らに日々
救われているから、そう思ってしまう。

子供時代って、本人からすると結構長い。

高齢時代到来の、80才90才まで当たり前に長生きできるような時代に突入した今日では、
それは人生のほんの一部に過ぎないのかもしれないけれど……。

それでも──
息子たちには、少しでも長く幸せな子供時代を過ごしてほしいと思う。

私は美代志くんのお陰で、家庭内に問題があっても、正気を保っていられるのだ。
そのことに、早い段階から私は気付いている。

この賑やかで……
幸せ時間の中に住む息子たちの姿に……
そして笑っていられる自分に……

私はこの先、息子たちを愛し、美代志くんを大切にしていこうとこの日、改めて心に誓った。










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