俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~
 聞き間違いか大地震の前兆か。とにかく、結衣にとってはそれくらい衝撃的だった。

「お前、『この人、謝罪できるの?』って思ってるだろ?」
「いえ、そんなことは」

 考えていることを言い当てられ、結衣はすーと視線を泳がせる。
 浩斗はそんな結衣を見て苦笑する。

「なんでそんな目にあっても、また恋人を作ろうと思ったんだ」
「だって、嬉しいじゃないですか。誰かの特別な存在になるって。その人が喜んでくれることを想像しただけで、幸せな気持ちになるでしょ?」
「その人が喜んでくれることを想像しただけで、幸せな気持ちになる?」
 浩斗は少しだけ首を傾げた。まるで理解できないと言いたげな様子に、なんだか可哀そうになる。

『俺は誰も好きにならない』

 これは浩斗の言葉だが、本当にそうだとしたらとても寂しい人生だと思った。

「そう言えば──、社長はさっき、なんであそこに居たんですか?」
「駅に向かおうとしたら、たまたまお前たちの姿が見えただけだ」
「なるほど」

 浩斗は時計を見る。

「そろそろ帰るか」
「そうですね。終電がなくなっちゃう」

「俺の車で送るか? 代行を待たせてある」
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