MR(医薬情報担当者)だって恋します!


「行ったら?」

 私が高田先生のところへ行くと、

「コップ空いてるのない~?」

 と先生は言い出した。

「いえ、私は結構です」
「ダメダメ、そんなこと言わずに、ほらビール」

 私は結局ビールを飲むことになった。弱くはないが、空きっ腹なのでゆっくり飲んでいると、

「飲めないわけじゃないんでしょ?」

 と注がれてしまう。私は夏目さんと鈴木の方をチラチラと見る。

「そっか。そこの二人もこっち来て飲もう」

 私たちは立食に参加する羽目になった。
 私と夏目さんは主に男性のドクター会話しながら、鈴木は女性の研修医に囲まれていた。
 薬剤の話をすると機嫌を損ねそうなので、当たり障りのない会話をする。
 私はドクターの話に笑顔で相槌をうちながらも、早く時間にならないかなと思っていた。中には話をしながら肩などにボディタッチをしてくるドクターもいて、私と夏目さんはそれをうまく流しながら相手をする。

 時間になると私も夏目さんもほっとして、帰っていくドクターたちにタクシーチケットを渡しながら頭を下げた。

「その、普通はこんなことにはならないのよ? 私たちは立食には参加しないの」

 少し酔ったのか、頬の赤い夏目さんが言った。
 
 それにしても鈴木はどこに行ったのだろう。
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