MR(医薬情報担当者)だって恋します!

 沢野先生の立場を悪くするのはイヤ。
 鈴木とはできれば友達を続けたい。でも、鈴木は私と友達ではいたくないのだ。それを思うと苦しい。
 友達でなくなったらどうなるんだろう。
 私は営業中、鈴木が私から目を逸らして去ってしまう想像をした。
 心臓が凍りそうな恐怖を覚えた。不覚にも涙まで滲む。
 鈴木と色んな話をしてきた。くだらない会話が多かった。でもそれは私の心を暖かくした。どこかで繋がっている安心感があったのに、今はこんなに心もとない。友達じゃなくなったら、私と鈴木の間には何が残るの? 
 何も、残らない?
 それは嫌だ。怖い。
 鈴木に無視されるのは、嫌。鈴木と話せなくなるのは、嫌。鈴木に昨日のような顔をさせるのも、嫌。
 イヤ。
 い・や!
 心に自分の声がこだまして私は驚いた。
 私は鈴木という友達を失うのが怖い。鈴木という存在を失うのが怖い。沢野先生を失うよりも……!

 愕然とする。

 沢野先生に断りの返事をしたら沢野先生を傷つける。それは悲しいと思う。けれど。
 私の心を今占めているのは鈴木だった。
 恋人になりたいかというとそうではない。でも、一番近くで私を見守ってくれいて、それが当たり前に続くと思ってしまっていた。なんて傲慢だったんだろう。
 鈴木はあんなに苦しそうだったのに。
 鈴木には笑っていてほしい。幸せそうにしていてほしい。
 
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