MR(医薬情報担当者)だって恋します!
「鈴木いい匂い」
鈴木に言われて、私は顔から火が出そうになる。
「ちょっと! 匂い嗅いじゃだめ! 汗かいてるし!」
「いいじゃん。いい匂いなんだから」
「やだ!」
上半身をひねって鈴木を見る。
「やなの」
私の言葉にふてくされた鈴木がまた可愛くてくすくす笑ってしまった。
「あー、俺、尻に敷かれそう」
「ふふっ。そうかもね。イヤ?」
「うーん。イヤじゃないけど、主導権握りたい」
「そういうものなんだね~」
「だから、握らせて?」
「さっき握ってたじゃん!」
「そうだっけ?」
言いながら鈴木が肩に沿って舌を這わせてきたので、私はビクンと体を硬ばらせる。
「もう! 今日はお終い!」
「えー、じゃあさ、鈴木からキスしてよ」
「私から?!」
私はちょっと困ったように鈴木を見る。鈴木の期待に満ちた目に、私は観念した。
少しお尻を浮かせて鈴木の首におそるおそる腕を回す。そして、ゆっくりと鈴木の唇に自分の唇を重ねた。
「鈴木、震えてる」
鈴木は言って、私の背に手を回して私を抱きしめる。ちゅっちゅっと唇を合わせるたびに音が響いた。
お互いしか見ていない時間。
鈴木の舌が入り込んでくる。
私はそれを素直に受け入れてしまう。
「そういう顔は俺だけに見せること」
私は自分がどんな顔をしてるか分からず恥ずかしくなる。
「なんかさ、天国のような地獄のような?」
「え?」
「もちろん、今、キスだけでも嬉しいよ? でも、これ以上進んじゃだめって拷問みたい」
「ごめん……。でも、約束じゃん?」
「だね。鈴木の方からしてもらったし、良しとしますか」
その後も私と鈴木ははたから見るとイチャイチャだろうなあということを鈴木が帰る夕方まで繰り返していた。もちろんキス以上はしなかったけれど。