MR(医薬情報担当者)だって恋します!


 週末映画を見て、私の部屋に戻ってきた日。
 キスをしてこようとした鈴木に、

「待って。話したいことがあるの」

 と真面目に向き合った。鈴木は私の様子に、正座をして、

「何?」

 と聞き返す。

「あのね」

 私は自分の思っていることを伝えた。
 鈴木は姿勢を正して聞いていたが、途中から笑い出した。

「ちょっと、私、真面目な話をしてるんだけど?」
「うん。あははは」

 私は怒ってそっぽを向いた。

「ごめん。怒らないで。いや、別れ話でもされるのかなと思って緊張しちゃったよ」
「……そんなわけないけど……。鈴木はイヤじゃないの? こんな風に思ってる私のこと」
「正直に言うね」

 鈴木は言って、私を後ろから抱きすくめる。

「嬉しいよ。鈴木の変化が」
「え?」
「だって、友達って思ってたらそんなこと考えないだろ? キスが気持ちいいことだって、簡単だよ。それは俺に気持ちが向いてきたからだと思うよ」
「そうなのかな?」

 そう言われるとそんな気もする。
 営業中でも鈴木の気遣いだとか、かけてくれる言葉が嬉しいと思うときが増えた。付き合う以前から鈴木はやさしかったのは分かっていたけれど、今はもっとやさしいと感じる。その違いが私の心の変化からなら、そうなのかもしれない。
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