MR(医薬情報担当者)だって恋します!


 私は鈴木に向き直った。
 鈴木は柔らかい目で私を見ている。この目も好きだと思う。熱っぽさも宿るやさしい目。

「ん?」

 なんだか恥ずかしくなって私は俯く。

「なに、どうしたんだよ?」
「鈴木は私のこといつ好きになったの?」
「難しい質問。実は、かなり前からだと思うよ。なんか危なっかしくて、面倒見てあげたいと思って……。髪型変えた時は、周りが鈴木のこと可愛いと思うんじゃって面白くなくて。鈴木に悪さするドクターが許せなくて。今思えば嫉妬だったのかなと」

 聞いているとなんだかむず痒いようなくすぐったいようなで、私は全身が熱くなるのを感じた。

「だから元カノには悪かったなと思う。正直、遠恋になってから電話で喧嘩ばかりで、疲れていた。そんな時、鈴木を見てると可愛いなって。あー、俺、浮気性なのかな?」

 自分で言って頭を抱える鈴木に、私は顔を上げて鈴木を真っ直ぐに見た。

「浮気性なの? 鈴木がほかの女性の方にふらふら行ったらイヤ、だな」

 言ってしまって、自分でも驚いた。鈴木の顔がぱっと赤く染まった。

「そういうのは反則じゃない? 可愛すぎるでしょ」

 言って、鈴木は私を抱きしめた。

「俺、告白されて付き合ってばかりだったんだよね。自分からは初めて。そして、こんなに独占欲感じるのも初めて。鈴木が他の男を見てるとそれだけで嫌な気分になる」
「橘先生とか? 沢野先生とか?」
「そう。橘先生のこと聞いた時、すっげー焦ったし、沢野先生から鈴木の匂いしたとき、殴ってやろうかと思った」
「鈴木って普段穏やかな感じだから想像出来ない。でも、確かにあの日は怖かったな」

 ごめん、と鈴木は謝る。

「とられたくない。自分のものにしたい。そんな自分勝手な想いが爆発したからね。今思えば焦りすぎだし、鈴木の気持ちを無視してたよな。ほんとごめん」
「もういいよ。そんな顔しないで」

 鈴木の悲しそうな顔は見たくない。鈴木がそれだけ追い詰められてたんだって今ではわかる気もする。

「でも後悔はしてない。最悪な告白だったけど、結果今こうしてるから」

 鈴木は私の額に自分の額をこつんとぶつけた。

「そろそろキスしていい? もう我慢できない」

 私は、

「いいよ」

 と言って目を閉じた。
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