MR(医薬情報担当者)だって恋します!


「話を戻すけど、確かに今回の結末は穏やかなものではないと思う。でも、それは理緒のせいじゃないよ。谷口先生が夏目さんを出禁にしたことが、いや、不倫をしたこと自体が発端なんだから」

 私はそうかもしれないと頷いた。

「まあ、俺たちにできることは夏目さんの分まで営業を頑張ることぐらいかな」
「……そうだね」

 これでよかったわけではないかもしれない。でも、この結末しかなかったのかもしれない。

「そういえば、香澄の結婚式の招待状が来てるの。それでね、今回のこと話したら、司にも来てもらいたいって」
「香澄さんって、例の友達? え? 俺?」

 司は驚いたように私を見た。

「だ、だって、司が結婚前提として付き合ってるだなんて言うから……」

 私は視線をうろうろさせる。

「お? それじゃ、公認ってことなの? 嬉しいな。ぜひ香澄さんにも会ってみたいね」

 司は嬉しそうだ。

「ほ、本当に出るの?」
「出たらだめなの?」
「そうじゃ、ないけど……」

 なんだか司からプロポーズをちゃんとされていないことが気になってしまう。司はこういうことを嘘で言う人間じゃないけれど、毎日営業先で会えなくなってしまった今、やっぱりちゃんと口にしてほしい。

 司が私を見て笑った。

「なるほど、その顔。理緒の考えていること分かっちゃった」
「え?」

 私は顔が赤くなるのが自分でも分かった。

「鈴木理緒さん」
 
 司が足を正して私に向き直った。

「俺と結婚してください。ずっと一緒にいさせてください。俺が理緒を幸せにするから」

 私の目にじんわりと涙が浮かぶ。

「はい。一緒に幸せにならせてください、司。よろしくお願いします」

 司は私を再び抱きよせた。

「指輪、買いに行こう。次の土曜日。いや、今からでもいいけど?」
「次の土曜日でいいよ。今日は一緒にこのままいたい」
「可愛いこと言ってくれるなあ」

 司は私の体をお姫様抱っこしてベッドに寝かせた。

「それで式はいつにする?」
「ちょ、ちょっと。訊くか服脱がせるかどちらかにしてよ」
「じゃあ、結婚式の話は後で」

 司の深いキスを受け止め、私は人生で一番の幸せを感じていた。
 母や兄はきっと色々と言ってくるだろう。もしかしたら父も結婚となると何か言う可能性もある。
 以前の私なら、言われたことが気になって結婚を考え直していたかもしれない。でも、今の私は全くそんなことは気にはならない。私は司からたくさんのことを教わった。私の世界は司と会って変わったのだ。

 私、これだけは言える。MRになって様々な人と出会えて、そして何より、司に出会えてよかった! 

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