MR(医薬情報担当者)だって恋します!


 外来前のドクターへの声かけをして、いつものように医局に顔を出す。
 橘先生はすでに外来に行ったようだった。どこかホッとしている自分がいた。でも避けてばかりはいられない。出来れば今日中に橘先生と話したい。午後に橘先生の部屋に行ってみよう。

 支店に戻ってからまず今野さんに勉強会の件を話した。

「クラウスの夏目さんと、アオハナの鈴木さんとうちの鈴木さんで勉強会をするってことだね?」
「はい」
「研修医もということだし、確かに若い人がいいだろうね。うん。いい機会だし、参加させてもらうといいよ。学んでおいで」

 今野さんはにっこり笑うとそう言った。思ったよりもあっさり許可が出て私は安堵した。

「分かりました。勉強してきます」
「それと」

 今野さんがじっと目を見つめて切り出したので、私は姿勢を正す。

「は、はい」
「一人で回っていてストレスを感じてるんじゃないかな? 最近疲れた表情しているよ」
「……分かりますか? 今日、鈴木君にも言われました」

 私が肩を落として頷くと、今野さんは「そっか」と苦笑いをした。

「僕にも責任があるね。一人で回るのがきつかったり、何かあったりしたら遠慮なく言っていいからね」

 今野さんに言われ、私は少し考える。夏目さんに相談して、今野さんに何も相談していない自分。
 変な意地を張らずに、今野さんにももっと頼ってもいいのかもしれない。

「分かりました。すみません、ご心配をおかけして」
「そういうときは、ありがとうございますでいいんだよ」

 私の言葉に、今野さんは目を細めて笑い、自分の席へ戻っていった。
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