MR(医薬情報担当者)だって恋します!
支店で事務処理と資料作りをしてから再び大学病院に行く。
まず夏目さんの姿を探した。電話でも良かったのだけれど、悩みも聞いてもらったし直接お礼が言いたかった。
10階から順に下りて探そうと思い、10階でエレベーターを降りる。腎臓内科の医局の前で谷口先生と夏目さんが話しているのが見えた。宣伝の邪魔になったら悪い。私はエレベーターホールまで引き返した。
夏目さんがどんな会話をドクターとするのかとても興味はあった。でも聞き耳をたてるわけにもいかず、私は病棟から戻ってくるドクターに挨拶をすることを繰り返した。
10分は経っただろうか。さすが夏目さん。随分と長く話している。
先に橘先生の部屋に行こう。
そう思い直して階段を下りようとした時に夏目さんから声をかけられた。
「鈴木さん」
「夏目さん」
「例の件、今野さんはなんて?」
「あ、オッケー出ました」
夏目さんはストレートボブの髪を耳にかけながら微笑んだ。
「そう。良かった。じゃあ、よろしくね」
「はい。あの、こないだは色々聞いて頂きありがとうございました」
「いいのよ。少しは力になれた?」
「はい! やるしかない。頑張ります」
夏目さんは私の言葉にふっと笑うと、私の肩を叩いて階段を下りて行った。先に下りようとしていた私はもう一度10階に戻った。