MR(医薬情報担当者)だって恋します!
「処方が出せるMRはなんで出せるんだと思う?」
「……分かりません」
「長くいるからだよ。MRはさ、辞めてくか、担当外されるかでいなくなる奴が多いんだよ。強いMRは長くいる。そして、医者と仲良くなってる」
「……でも、そしたら薬の良し悪しは……」
私は言っていいのか悩みつつ口にしてしまった。
「二の次だね。考えてみろよ。信頼できないやつから忙しいのに話聞こうと思うか?」
「……いえ」
「どんな薬も良いとこと悪いとこがあんだよ。俺たちだって勉強はしてる。それでも処方しないのはMRに魅力がないからだよ。処方されたいなら強いMRになれ。そして話を聞いてもらうようになれ」
私はしばらく声が出せなかった。
「まあ、老婆心で教えてやったからな。あ~、もう一つ、分かってないみたいだから教えてやるよ。医局はな、ドクターたちの戻ってくる場所だ。自室がないドクターにとっては寛げる場所だな。その医局に疲れて帰ってきた時に、ごちゃごちゃ言われてみろ。誰だって怒るわな。医局でドクターを楽しませるMRは強くなる。癒しでもいいわな。そこは自分で考えてみ? ほい。以上。俺はもう怒ってないから、今野さんには来ないでいいって言っといて」
私は深々とお辞儀をして、塩屋先生の部屋を出た。
塩屋先生から色々話してもらえるとは思っていなかった。貴重な体験をさせてもらった。
私はMR。営業マンなのだ。今後はドクターを怒らせるようなことはしないようにしないと。