MR(医薬情報担当者)だって恋します!
「それで?」
粥を食べながら鈴木が尋ねてくる。
「えっと」
美味しく食べているとどこまで話していたか忘れてしまった。
「家出たんだよな? だったら解決したんじゃないの?」
鈴木の言葉に私は粥を食べる手を止めた。そして、ぐるぐると蓮華で粥を混ぜる。
「うん……。それが、解決はしてないみたいで……」
ぐるぐる。私は混ざり合う粥を見ながら、我ながら何故だろうと思う。何故解決しないんだろう。
「残ってるんだよね。頭の奥に。言われたこととか。だから。能無しじゃなくなるためには、頑張らなきゃって。死ぬ気で頑張らなきゃって」
鈴木が私の方を向いたのがわかった。でも、私は鈴木の顔を見られなかった。涙が出てしまう気がして。
「役に立たなきゃって。でも死ぬ気でってどこまでやればいいのか分からないんだよね。だから、頑張っても頑張ってもまだ足りないような気がするの」
私は言ってから、食事の楽しい時間を台無しにしたなあと思って無理に笑顔を作った。
「本当に美味しいね。このお粥」
「……あんたさ、馬鹿だね」
鈴木に言われて、
「だよね」
と反射的に笑って返す。
「だよね、じゃない。笑わなくていい」
「え?」
「無理して笑う必要ない」
「あ……」
自分の表情が消えるのが分かった。
鈴木は先ほど私がしていたように残りの粥を蓮華で混ぜた。そして一口食べると、私の方を再び見た。
「俺さ、前に言ったけど、俺の存在意義は仕事で役に立ってるかじゃないって」
「うん、言ったね」
「もう一つ付け加えると、仕事以外でも役に立ってなくても俺はいいと思ってる」
私にはとても思えない考えだ。私は戸惑い、黙った。