MR(医薬情報担当者)だって恋します!
衝撃的だった。鈴木の言葉は頭に直接響いて、私の脳をかき回した。
「生まれたから生きる……」
私は呟きながら、鈴木を凝視した。鈴木は黙って見つめ返してくる。
「自分のしたいこと……」
「分かんないの? したいこと」
鈴木は言いながら残りの粥を口に頬張った。
「まず家から出た。それってしたいことしたんじゃないの? それなのに母親と兄に縛られてんの? もったいないね」
鈴木の言い方は決してやさしくなかった。私に同情なんてかけらもしてなかった。でも、私のことを考えてくれているのだけは分かった。
「ほんと……。ほんとだね」
私は自分の頬を涙が伝うのが分かった。
鈴木は私の涙にひるむことなく続ける。
「俺さ、鈴木が何かに追い立てられるように営業してるの、なんでかなと思ってた。まあ、今日分かって良かったよ。……俺は、頑張るなって言ってんじゃないよ。鈴木自身が頑張りたいって思って頑張るならそれはそれでいいと思う。ただ、身体は壊すなよ」
「うん……」
私は残りの粥を蓮華で掬った。粥は少し冷めて、涙でしょっぱかった。でも、その味は心に染み渡った。
「ありがとう、鈴木」
「俺、何もしてないけど」
「ううん。ありがとう。鈴木が友達で良かった。ねえ、またこの店来たいな」
「鈴木が望むなら」
私はすぐには考えを変えられないと思う。母と兄のことも忘れるのは難しいと思う。でも、それでも、生まれたからには自分で生きよう。鈴木の言葉でそう思えた。
鈴木はすごい。