MR(医薬情報担当者)だって恋します!
カンファレンスルームを出るとエレベーターホールには沢山のMRがドクターたちを待っていた。私はスマートフォンで時間を見て驚いた。沢野先生の所にかなり長居してしまったようだ。
「鈴木さんが沢野先生のところに入ってたんだね」
他社MRが嫌味を言って沢野先生の部屋へ行く。それを横で聞いていた鈴木が、
「え? あれからずっといたの?」
と横に来て声をかけてきた。
「あれからって……?」
ほかのMRを気にしながら、鈴木に返すと、
「鈴木が沢野先生の部屋に入っていくとこ、ちょうど見たんだよ。俺、その後、色んな科回ってきたのに」
と鈴木も他社MRに聞こえないようこそこそと言った。見られていたんだ。
「頼まれてた資料が結構あってね」
「ふうん」
「それにしても今日、MR多いね。3階」
「サンコーさんが説明会だからね」
「なるほど」
説明会が始まるまで後40分はある。
「ちょっと私他のとこ回ってくる」
「おう」
「今野さんは見かけなかった?」
「さっき教授の部屋に入っていったよ」
じゃあ、私がこの階にいなくてもますます大丈夫だ。教授に話が終わった後、今野さんはここに残るに違いない。
私は階段を急いで10階まで上った。