MR(医薬情報担当者)だって恋します!

 カンファレンスルームを出るとエレベーターホールには沢山のMRがドクターたちを待っていた。私はスマートフォンで時間を見て驚いた。沢野先生の所にかなり長居してしまったようだ。

「鈴木さんが沢野先生のところに入ってたんだね」

 他社MRが嫌味を言って沢野先生の部屋へ行く。それを横で聞いていた鈴木が、

「え? あれからずっといたの?」

 と横に来て声をかけてきた。

「あれからって……?」

 ほかのMRを気にしながら、鈴木に返すと、

「鈴木が沢野先生の部屋に入っていくとこ、ちょうど見たんだよ。俺、その後、色んな科回ってきたのに」

 と鈴木も他社MRに聞こえないようこそこそと言った。見られていたんだ。

「頼まれてた資料が結構あってね」
「ふうん」
「それにしても今日、MR多いね。3階」
「サンコーさんが説明会だからね」
「なるほど」

 説明会が始まるまで後40分はある。

「ちょっと私他のとこ回ってくる」
「おう」
「今野さんは見かけなかった?」
「さっき教授の部屋に入っていったよ」

 じゃあ、私がこの階にいなくてもますます大丈夫だ。教授に話が終わった後、今野さんはここに残るに違いない。
 私は階段を急いで10階まで上った。

< 90 / 238 >

この作品をシェア

pagetop