MR(医薬情報担当者)だって恋します!
「しろも甘いもの好きだったよね」
「ああ。抹茶は特に好き」
「良かった!」
私としろは並んで歩き、その後ろを鈴木がついてくる。
私は鈴木を振り返って、
「早くから呼び出しちゃってごめんね。井尻でパフェ食べたら、無理して付き合うことないから。せっかくの休日でしょ?」
と言うと、鈴木は少しむっとした顔になった。
「別に。最近動植物園も行ってないし、今日、暇だから俺も行こうかなと」
「それじゃあ、井尻の後も一緒ですね? 人数多い方が楽しいですよ」
しろが笑顔で言った。私は少し面白くない。しろと二人で積もる話もあるのに。
「なんだよ、そのぶーたれた顔。そんなに二人で回りたかったのか?」
鈴木が不機嫌に言ってきた。
「だって久しぶりに親友と会えたんだよ? そりゃ、色々話したいこともあるに決まってるじゃん」
「まあ、それはそうかもね。じゃあ、俺はいないと思って普通に話していいから」
「何、その言い方!」
私と鈴木が言い合いをしてると、しろが楽しげに笑った。
「あはは。仲いいね! 痴話喧嘩みたいだよ?」
「そんなんじゃないし」
「そんなんじゃねーし」
「井尻ってあそこ?」
しろが指差す。黒が基調の和風な佇まいの店が見えた。抹茶色の暖簾がしてある。
「そうそう、あそこ」
「いいね、なんか和な甘味処って感じ」
「抹茶パフェ、本当に美味いんだよね」
「そりゃあ楽しみだ」
井尻に入ると、10時開店で10時15分に着いたのにもう客がいた。
「いらっしゃいませ」
感じのいい店員さんに案内され席につき、三人とも抹茶パフェをたのんだ。
ワクワクしながら待つと、少し小さめのパフェがきた。
一番下は抹茶のムース。次に抹茶寒天。粒あん。抹茶アイス。その傍に白玉とわらび餅。
「美味しそう~! 頂きまーす!」
思わず笑顔になり、手を合わせた。
スプーンで抹茶アイスを口にする。抹茶の深い苦味と程よい甘みが口いっぱいに広がった。
本当に美味しいものを食べると人は無言になるようだ。私たちはしばらく無言でパフェを食べた。
抹茶ムースの最後の一口を食べ終えて、
「美味しかった……!」
と私は満面の笑みで言葉にした。しろも鈴木も完食だ。
「うん、美味しかった。抹茶の味が凄く濃かった」
と、しろが満足そうに言った。
「俺もう一つぐらい入りそう」
と言う鈴木に、
「昼は鰻だよ? 美味しく食べるために我慢我慢」
と私。
「で、これから行くのは動植物園なの?」
しろが聞いてくる。
「うん。鈴木が一緒に行くなら詳しいはずだから、鈴木、案内してよ」
「鈴木さんはここが地元なんですか?」
しろの問いに、
「いや、地元は別なんですが、大学がこっちだったんです」
と答える鈴木。
一度駅の方に戻って、地下鉄に乗った。