MR(医薬情報担当者)だって恋します!


 私は橘先生のことを話した。

「理緒。いい人だったから良かったものの……。医者に恋するのはやめとけ。理緒が悲しい思いをするだけだ」
「話した人みんなに言われるなあ。じゃあ、MR同士の恋愛になるのかな」
「無理して早くに見つけなくてもいいさ。……鈴木さんに彼女がいなかったらな……」
「鈴木は友達だもん」

 私の言葉に、

「そうだったな」

 としろは肩をすくめた。

「俺、晩飯食べたら帰ろうかと思う」
「そうだね。彼女さんが心配するといけないし」

 私たちは城跡の公園を一周ゆっくり歩いた。今度はいつ会えるかわからない。でも会いたければ私から会いに行ってもいいのだ。大丈夫。しろと私は変わらない。

「じゃあな、理緒。また会おう」
「うん。来てくれてありがとう。嬉しかったよ! 彼女さんにもよろしく!」

 しろが改札口を通り、一度手を挙げて階段を上って行く。その後ろ姿を眺めて、寂しくなった。見送るってなんだか切ないな。
< 98 / 238 >

この作品をシェア

pagetop