並んで歩くなら、あなたと
放課後、案内のあった学校の中庭に向かった。
「とーやー」
「お、花菜。来たな。桔花と蓮乃は?」
さっき、黄色い悲鳴を浴びていた藤也は、園芸部の先輩たちと一緒に倉庫の前に立っていた。
「教室に迎えに行ったけど、二人ともまだホームルーム中だった」
桔花と蓮乃は、藤也の双子の妹だ。残念ながら私とはクラスが違ったけど、園芸部に入ると聞いてるから、そのうち来るだろう。
「つーか、花菜は園芸部でいいわけ? 家の手伝いもあるだろ?」
「迷ったけど、パパが『せっかくだし、高校生のときにしかできないことをしてこい』ってさ」
「瑞希さんらしいな」
藤也が柔らかく目を細めた。
私の家は代々花農家をやっていて、今はおじいちゃんとパパが畑の切り盛り、おばあちゃんとママが、従業員や土地、商品の管理をしている。
藤也の家は代々造園屋兼花屋さんをやっている。
だから、パパが藤也の家に納品に行くことも多いし、藤也のお父さんの藤乃くんとは幼馴染で、仲がいい。
藤也のお母さんの花音さんはパパの妹で、三世帯同居のうちにもよく顔を出す。そういう家族ぐるみの付き合いを、昔からしていた。
だから、私と藤也はしょっちゅう互いの家を行き来していて、従兄妹というより、幼馴染みみたいに一緒に育ってきた。
……そのせいで余計に藤也の顔が標準だと思っちゃってるんだけど。
「おにーちゃーん」「花菜ー」
「来た来た」
藤也が振り向いた。校舎の方から桔花と蓮乃がのんびり歩いてきて、他の一年生の入部希望者もぼちぼち集まってきた。
「よし、集まったな。じゃあ一年生は軽く自己紹介してもらおうか」
「はいはい、その前に!」
藤也が一年生を見回すと、近くにいた男の先輩が、不満そうな顔で手を上げた。
「なんで部長ばっかり美少女はべらせてるんですか!?」
「人聞きの悪いこと言うな! 左から妹、妹、従妹! 俺には大学に行っちゃった最愛の彼女がいるんだ!! お前、知ってるだろ!」
「部長、卒業式の日、干からびそうなくらい泣いてましたもんね」
「思い出させるな、泣くぞ」
「妹の須藤桔花です。お兄ちゃんは家でも泣いてました」「妹の須藤蓮乃です。卒業式の後、うちで彼女さんに慰められてました」
「従妹の由紀花菜です。まだたまにプリクラ見てため息ついてます。彼女さん、藤也の家にバイトで通ってるのにね」
「……マジで部長の妹と従妹なんですか?」
「須藤、泣きすぎだろ……」
「うるせえ、どっちもバラすなよ」
最初に手を上げた先輩は、「マジで親戚かよ……須藤家、顔面偏差値どうなってんだ」と言葉を失っていた。
やっぱり、藤也がおかしいんだよねえ。
藤也は騒ぐ先輩を黙らせて、他の一年生に自己紹介をさせた。
「見学に来てくれたのは全部で十人か。うん、ありがとうね。じゃあ、二、三年生はいつも通り水やりに行ってらっしゃい。一年生はこっち集まって。今週一週間は仮入部期間なんだけど――」
すごい。藤也が部長してる。
感心半分、まあ藤也ならそれくらいできるか、なんて納得半分で話を聞いた。
部活内容をざっと教えてもらった後、藤也に案内されて校内に配置されてる花壇を見て回った。
中庭から始まって、校庭の周り、校舎の周り、駐輪場を過ぎて校門を出て裏門を回って、また中庭に戻ってきた。途中で、それぞれの水やりを担当している先輩も紹介してもらって、それだけで結構な時間が経っていた。
「今日、もう入部確定してる子がいたら、先に入部届を顧問に出してきてもらえる? 今の時間なら職員室にいるから。まだ悩んでる子は俺と中庭の水やりをしようか。今の時期に植えてる花の名前とか、世話の仕方の説明をするよ」
私は桔花と蓮乃と三人で入部届を出しに行った。
顧問の教頭先生に声をかけると、
「ああ、瑞希と藤乃の子どもたちか。……問題、起こさないでね……」
と、なぜかめちゃくちゃ疲れた顔をされた。
昔、パパと藤乃くんの担任の先生だったっていうのは聞いたけど……パパはともかく、藤乃くんは問題を起こすように見えないけどな。
「とーやー」
「お、花菜。来たな。桔花と蓮乃は?」
さっき、黄色い悲鳴を浴びていた藤也は、園芸部の先輩たちと一緒に倉庫の前に立っていた。
「教室に迎えに行ったけど、二人ともまだホームルーム中だった」
桔花と蓮乃は、藤也の双子の妹だ。残念ながら私とはクラスが違ったけど、園芸部に入ると聞いてるから、そのうち来るだろう。
「つーか、花菜は園芸部でいいわけ? 家の手伝いもあるだろ?」
「迷ったけど、パパが『せっかくだし、高校生のときにしかできないことをしてこい』ってさ」
「瑞希さんらしいな」
藤也が柔らかく目を細めた。
私の家は代々花農家をやっていて、今はおじいちゃんとパパが畑の切り盛り、おばあちゃんとママが、従業員や土地、商品の管理をしている。
藤也の家は代々造園屋兼花屋さんをやっている。
だから、パパが藤也の家に納品に行くことも多いし、藤也のお父さんの藤乃くんとは幼馴染で、仲がいい。
藤也のお母さんの花音さんはパパの妹で、三世帯同居のうちにもよく顔を出す。そういう家族ぐるみの付き合いを、昔からしていた。
だから、私と藤也はしょっちゅう互いの家を行き来していて、従兄妹というより、幼馴染みみたいに一緒に育ってきた。
……そのせいで余計に藤也の顔が標準だと思っちゃってるんだけど。
「おにーちゃーん」「花菜ー」
「来た来た」
藤也が振り向いた。校舎の方から桔花と蓮乃がのんびり歩いてきて、他の一年生の入部希望者もぼちぼち集まってきた。
「よし、集まったな。じゃあ一年生は軽く自己紹介してもらおうか」
「はいはい、その前に!」
藤也が一年生を見回すと、近くにいた男の先輩が、不満そうな顔で手を上げた。
「なんで部長ばっかり美少女はべらせてるんですか!?」
「人聞きの悪いこと言うな! 左から妹、妹、従妹! 俺には大学に行っちゃった最愛の彼女がいるんだ!! お前、知ってるだろ!」
「部長、卒業式の日、干からびそうなくらい泣いてましたもんね」
「思い出させるな、泣くぞ」
「妹の須藤桔花です。お兄ちゃんは家でも泣いてました」「妹の須藤蓮乃です。卒業式の後、うちで彼女さんに慰められてました」
「従妹の由紀花菜です。まだたまにプリクラ見てため息ついてます。彼女さん、藤也の家にバイトで通ってるのにね」
「……マジで部長の妹と従妹なんですか?」
「須藤、泣きすぎだろ……」
「うるせえ、どっちもバラすなよ」
最初に手を上げた先輩は、「マジで親戚かよ……須藤家、顔面偏差値どうなってんだ」と言葉を失っていた。
やっぱり、藤也がおかしいんだよねえ。
藤也は騒ぐ先輩を黙らせて、他の一年生に自己紹介をさせた。
「見学に来てくれたのは全部で十人か。うん、ありがとうね。じゃあ、二、三年生はいつも通り水やりに行ってらっしゃい。一年生はこっち集まって。今週一週間は仮入部期間なんだけど――」
すごい。藤也が部長してる。
感心半分、まあ藤也ならそれくらいできるか、なんて納得半分で話を聞いた。
部活内容をざっと教えてもらった後、藤也に案内されて校内に配置されてる花壇を見て回った。
中庭から始まって、校庭の周り、校舎の周り、駐輪場を過ぎて校門を出て裏門を回って、また中庭に戻ってきた。途中で、それぞれの水やりを担当している先輩も紹介してもらって、それだけで結構な時間が経っていた。
「今日、もう入部確定してる子がいたら、先に入部届を顧問に出してきてもらえる? 今の時間なら職員室にいるから。まだ悩んでる子は俺と中庭の水やりをしようか。今の時期に植えてる花の名前とか、世話の仕方の説明をするよ」
私は桔花と蓮乃と三人で入部届を出しに行った。
顧問の教頭先生に声をかけると、
「ああ、瑞希と藤乃の子どもたちか。……問題、起こさないでね……」
と、なぜかめちゃくちゃ疲れた顔をされた。
昔、パパと藤乃くんの担任の先生だったっていうのは聞いたけど……パパはともかく、藤乃くんは問題を起こすように見えないけどな。