並んで歩くなら、あなたと
 裏門で一緒に脇芽を取ったり、雑草を取ったりする。

 そういうときの手つきは的確だし信用してるんだけど、なんとなくそれを言うのは癪だから、違うことを言う。


「先輩、家どこですか?」

「いきなり何?」

「昨日、わざわざ送ってくれたでしょ。遠かったら悪いから」

「そんなに遠くないよ」

「そう? でも無理しないでください。そういうの、続かないから」

「本当にそんなに遠くないから大丈夫。よし、こんなもんかな。由紀さん、他に気になるところある?」

「大丈夫です。片付けましょうか」


 先輩は軍手を取って、汗をぬぐった。よく見たら先輩の首にかかっているタオルが、私が前にあげた由紀農園のタオルだ。ついニヤッとしてしまう。

 散らばった雑草をゴミ袋にまとめて、二人でもう一度花壇を確認したら、今日はおしまい。

 ゴミを捨ててから中庭に戻ったら、藤也が苗の植え直しの指示を出していた。


「間隔詰め過ぎた。あと、畝をもう少し高くしてみる」

「いいんじゃない?」

「世菜、そっちの花壇は問題なし?」


 藤也が、倉庫の片付けをしていた世菜先輩の方を見た。

 先輩は倉庫から顔を出して穏やかに笑って頷いた。


「はい、由紀さんがちゃんと見てくれてますから」

「何言ってんだよ」


 藤也は笑って肩をすくめた。


「俺は、裏門の花壇は全部、世菜に任せてるんだ。花菜にじゃない」


 世菜先輩がわかりやすく照れた顔になって、やっぱりこの人はかわいいし、頼れる先輩だと思う。
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