並んで歩くなら、あなたと
翌日、帰りのホームルームを終えて桃と教室を出ると、世菜先輩が立っていた。
「え、先輩。何してるの」
「一緒に部活行こうかと思って待ってた」
「いや、だからなんで?」
「俺が由紀さんと行きたかったから」
「えー?」
隣にいた桃がニヤッと笑った。
桃は、休み時間に昨日のことを話してから、
「王子様じゃん!!」
と、世菜先輩のことをやけに褒めるようになったから、きっと今もそんなことを考えているんだろう。
「桃、部活行ってくる」
「うんうん、行っておいで。そんで明日、詳しく聞かせてねえ!」
「うっさいな、もー。また明日」
「うん、また明日」
桃は満面の笑みで手を振った。
私は先輩の顔を見ないまま歩き出した。
「もー」
「ごめん」
「謝らなくていいですけど、来るなら来るって連絡してくださいよ」
そう言うと先輩はきょとんとした。
「連絡していいんだ?」
「いいですよ。昨日だって電話したじゃないですか」
「そっか。朝晩おはようとおやすみ送っていい?」
「鬱陶しいからダメです」
そう言うと先輩はしょんぼりした顔になった。
冗談かと思ったけど、本気だったのかな。
「そんなのしなくたって、朝晩会ってるじゃないですか」
「うん、そうだね」
そのまま一緒に中庭に行って、ホースとじょうろを持って裏門に向かった。
苗を植えて一週間ほどだけど、そろそろ脇芽を取ったり、雑草を抜いたほうがいいかも。
水やりを終えて世菜先輩のところに行くと、しゃがんで花壇に手を突っ込んでいた。
「あ、由紀さん。そろそろ脇芽を取りたいんだけど」
「ふふ、私も同じこと思ってました。先に水やりを終わらせて、ゴミ袋取りに行きましょうか」
「うん、そうしよっか」
先輩の水やりを手伝ってから一緒に中庭に向かうと、藤也が花壇の前にしゃがんで唸っていた。
「藤也、どうしたの」
「いやさー、この前植えたのが根腐れしちゃって」
「あらら」
世菜先輩がゴミ袋と軍手、鋏を持ってきてくれたので、半分受け取って、また裏門に戻る。
その途中で、先輩は私をのぞき込んだ。
「部長、どうしたの?」
「この前植えた花が根腐れしちゃったんだって」
「手伝う?」
「ううん。藤也なら、放っておいても大丈夫」
世菜先輩は一瞬黙ってから、遠くを見て呟いた。
「……信用してるんだね」
「信頼してる。藤也なら、任せられる。……行こうよ先輩」
またこの人は、面倒なことを考えてるんだろうな。
というか、この先輩は基本的にめんどくさい人だって、関わって一ヶ月で私は気づいた。
めんどくさいけど、かわいいし、たまに頼れることも、この一ヶ月でわかった。
「俺は、信頼できない?」
「信頼できるほどの付き合いがない。信頼してほしいなら、もっと一緒に頑張ろう。私も先輩のこと、信頼したいから。目を離してても大丈夫になって」
「……目、離さないで」
「そういうこと言ってるうちは信用できないんだけど」
「困ったなあ。花菜ちゃんに信用される男になりたいけど、目を離されるのは寂しい」
「え、先輩。何してるの」
「一緒に部活行こうかと思って待ってた」
「いや、だからなんで?」
「俺が由紀さんと行きたかったから」
「えー?」
隣にいた桃がニヤッと笑った。
桃は、休み時間に昨日のことを話してから、
「王子様じゃん!!」
と、世菜先輩のことをやけに褒めるようになったから、きっと今もそんなことを考えているんだろう。
「桃、部活行ってくる」
「うんうん、行っておいで。そんで明日、詳しく聞かせてねえ!」
「うっさいな、もー。また明日」
「うん、また明日」
桃は満面の笑みで手を振った。
私は先輩の顔を見ないまま歩き出した。
「もー」
「ごめん」
「謝らなくていいですけど、来るなら来るって連絡してくださいよ」
そう言うと先輩はきょとんとした。
「連絡していいんだ?」
「いいですよ。昨日だって電話したじゃないですか」
「そっか。朝晩おはようとおやすみ送っていい?」
「鬱陶しいからダメです」
そう言うと先輩はしょんぼりした顔になった。
冗談かと思ったけど、本気だったのかな。
「そんなのしなくたって、朝晩会ってるじゃないですか」
「うん、そうだね」
そのまま一緒に中庭に行って、ホースとじょうろを持って裏門に向かった。
苗を植えて一週間ほどだけど、そろそろ脇芽を取ったり、雑草を抜いたほうがいいかも。
水やりを終えて世菜先輩のところに行くと、しゃがんで花壇に手を突っ込んでいた。
「あ、由紀さん。そろそろ脇芽を取りたいんだけど」
「ふふ、私も同じこと思ってました。先に水やりを終わらせて、ゴミ袋取りに行きましょうか」
「うん、そうしよっか」
先輩の水やりを手伝ってから一緒に中庭に向かうと、藤也が花壇の前にしゃがんで唸っていた。
「藤也、どうしたの」
「いやさー、この前植えたのが根腐れしちゃって」
「あらら」
世菜先輩がゴミ袋と軍手、鋏を持ってきてくれたので、半分受け取って、また裏門に戻る。
その途中で、先輩は私をのぞき込んだ。
「部長、どうしたの?」
「この前植えた花が根腐れしちゃったんだって」
「手伝う?」
「ううん。藤也なら、放っておいても大丈夫」
世菜先輩は一瞬黙ってから、遠くを見て呟いた。
「……信用してるんだね」
「信頼してる。藤也なら、任せられる。……行こうよ先輩」
またこの人は、面倒なことを考えてるんだろうな。
というか、この先輩は基本的にめんどくさい人だって、関わって一ヶ月で私は気づいた。
めんどくさいけど、かわいいし、たまに頼れることも、この一ヶ月でわかった。
「俺は、信頼できない?」
「信頼できるほどの付き合いがない。信頼してほしいなら、もっと一緒に頑張ろう。私も先輩のこと、信頼したいから。目を離してても大丈夫になって」
「……目、離さないで」
「そういうこと言ってるうちは信用できないんだけど」
「困ったなあ。花菜ちゃんに信用される男になりたいけど、目を離されるのは寂しい」