並んで歩くなら、あなたと
 一通り遊んでから二人のクラスを出て、世菜のクラスの迷路に向かった。

 (みどり)先輩と黄乃(きの)先輩が受付をしていて、私たちに気づくと手を振ってくれた。


「翠、こちらが俺の彼女です」

「知ってるけど。なんの茶番だよ」

「翠が黄乃さんのことそうやって紹介してたから、俺もやってみたかったんだ」


 翠先輩と世菜が笑っていて、黄乃先輩は呆れた顔で私に耳打ちした。


「男子ってなんでこう子供っぽいんだろうね」

「世菜は私といるときは先輩ぶりたがるので、翠先輩と盛り上がっているのは面白いです」

「あ、そうなんだ? ……分からなくはないかな」


 普段は私に甘えたりかっこつけたがったりする世菜が、同級生と盛り上がっているのはそれはそれでかわいいというか、新鮮というか。

 受付を済ませて迷路を回ったけど、世菜が作っているからあちこちの仕掛けを教えてもらったり、作るのが大変だったところを説明してもらいながら、ゴールまで向かった。

 ゴールには知らない女の先輩が立っていて、なんか困った顔をしていた。


「坂木くん、その子は?」

「彼女。かわいいでしょ」


 世菜は翠先輩と話していたときの半分くらいの低い声で言った。

 見上げると、無表情で少し怖いくらいだった。でも、つないだ手がさっきより強く握られているから、私も同じように握り返した。


「それ、あの子にいった?」

「なんで言う必要があるのさ」

「……いや、だってさ」

「俺がご報告して差し上げる義理なんかないし、君も別に言わなくていい」

「……わかった」


 女の先輩は困った顔のまま世菜に景品を渡した。

 世菜は私の手を引いて受付まで戻って、景品を翠先輩に渡す。


「あげる」

「いらんけど」

「俺もいらない」

「そんな怒んなくても……いや、怒るか。わかった。もらっとく」

「ありがと。花菜ちゃん、射的行こうよ」

「う、うん……」


 世菜にしては珍しく、言い返せない雰囲気だった。

 さっきの人が言っていた「あの子」が誰を指すのか察しはしたけど、世菜がこんなにも怒っているのは私にもわかったから、黙ってついていった。



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